- アスベストとは?
- アスベストとは(Asbestor)とは、ギリシャ語で「消滅しないもの」という意味があり、その名のとおり、断熱性・
断薬品性に優れ、古くはクレオパトラの時代から「燃えない布」として使われていた。我国でも江戸時代に
平賀源内が秩父産のアスベスト鉱を用いて「火浣布」を製作した。現代においてもアスベストは、スレート材料、
摩擦材料、断熱材料等として多方面に使われており、昭和42年以後、年間使用量は20万トンを超え、昭和61年の
使用量は21万5千トンであった。
一方、産業革命以後のアスベスト使用量が増大に伴って、アスベストを取り扱う労働者における健康障害が
知られるようになった。そして、一般の環境大気中にもアスベスト繊維が検出されるようになり、発ガン物質としての
アスベスト汚染問題についても、国際的な関心が寄せられるようになった。
アスベストは 、建築材料としては 吹付けアスベスト 又は アスベスト成形品の 形熊で 活用されている。
このうち、本指針は その対象を 吹付けアスベスト (吹きつけロックウールのうち、アスベストを 含むものは
本指針の 対象とする) としている。 この 吹付けアスベストは 昭和50年の 特定科学物質等障害予防規則の
改正に伴い、 それ以降は 施工されていない。
昭和50年以前に 施工されたものに ついては現在、 その一部に 劣化や損傷が 見られるものが あり
以下の 事項が 指摘されている。
(1) 劣化や損傷の ある吹付けアスベスト層から 発生する恐れの ある粉塵による、 その建物
使用者等の 健康及び 環境への影響
(2) 吹付けアスベスト層の 除去等の作業時に 発生する粉塵による 施工者等への健康及び
環境への影響
こうした背景にあって、 本指針ではすでに 施工された 吹付けアスベスト層の 状態を調査 ・ 診断する
方法、 並びにその結果に 対応した粉塵の 飛散防止のための 適切な 処理方法を示す。
- 既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理・同解説
- 1. 1 目的
- 1. 2 適用範囲
本指針で対象とするアスベストの吹付け工事が行われている既存建築物の部位等の範囲としては、以下の見えがかり部分とする。
1) 壁
2) 天井
3) 耐火被覆された部分
- 1. 2 適用範囲
- 特定粉じん(アスベスト)排出作業実施の届出について
- 平成8年5月に大気汚染防止法が改正され、平成9年4月1日より「建築物の解体などに伴う石綿(アスベスト)の飛散防止」について所要の規制処置が講じられます。これに伴い以下の表に記載する作業を実施する事業者等は所定の様式により作業の開始の14日までに届出が必要です。
- 特定粉じん排出作業の種類及び作業基準一覧
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対象作業 対象作業細分類 作業基準 解体作業
1.建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する
耐火建築物又は、同条第9号の3に規定する準耐火建築物で
延べ面積が500平方メートル以上のもの(「特定耐火建築物」という)を解体する
作業にあって、その対象になる建築物における特定建築材料の使用面積の
合計が50平方メートル以上であるもの。
耐火建築物又は準耐火建築物である。
延べ面積500㎡以上
作業の部分に使用されている吹付け石綿(アスベスト)の面積が50㎡以上
ア)1の解体作業のうち イ)以外の作業
イ) 1の解体作業のうち、人が立ち入ることが危険な状態の建築物を解体する作業その他の建築材料を除去することが著しく困難な作業次に掲げる事項を尊守して作業の対象となる建築物使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する処置を講ずること。
イ 特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業所」という)を他の場所から隔離し、作業場の出入り口には前室を設けること。
ロ 作業場を負圧に保ち、作業場の排気に日本工業規格Z4812に規定する放射性エアロゾル用高性能エアフィルタを付けた集じん・排気処置を使用すること。
ハ 除去する特定建築材料を薬液等にょる湿潤化すること。
ニ 特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たっては特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること改造又は補修作業
2 特定耐火建築物等を改造し、又は補修する作業にあって、その対象となる建築物の部分における特定建築材料の使用面積の合計が50平方メートル以上であるもの。
耐火建築物又は準耐火建築物である。
作業の部分に使用されている吹付け石綿(アスベスト)の
面積が50㎡以上。
以上の1,2を満たすものが2の対象となる。次に掲げる事項を尊守して作業の対象となる建築物の部分に使用されている特定建築材料を除去し、囲い込み、若しくは封じ込めるか、又はこれらと同等の以上の効果を有する処置を講ずること。
イ 特定建築材料を除去するにあたっては、解体作業のイからニまでに掲げる事項を尊守すること。
ロ 特定建築材料を囲い込み、又は封じ込めるに当たっては、当該特定建築材料の劣化が著しい場合、又は下地との接着が不良な場合は、当該特定建築材料を除去すること。 - 特定粉じん排出等作業実施届出書に関する補完資料について
- 所定の様式によっり作業開始の14日までに下記の資料の提出が必要です。
1. 組織図
2. 作業場配置図 周辺地図
3. 敷地図
4. アスベスト種類
5. アスベスト使用範囲
6. アスベスト使用面積算定根拠
7. アスベスト使用箇所の写真
8. 建物平面図(延べ面積算定根拠)
9. 建物立面図
10. 施工フロー
11・ 作業要領
12. 作業場の区きり図
13・ 使用資料一覧
14. 使用材料一覧(データ安全シート含む)
15. 作業手順書
16. 作業スケジュール
17. 負圧除塵装置
18. 換気能力の算定
19. 飛散防止固化材資料
20. 廃石綿の処理方法
21. 環境測定方法と管理限界基準
22. 安全衛生管理アニュアル
23. その他
- アスベスト除去工事の流れ
- 事前準備 工事計画・要領書準備
必要機器・資材の準備・調達
処理工事施工
「準備作業」 処理工事実施の表示
--------------------------------------------- 施工前サンプリング
床の養生 〔ポリエチレンシート 2枚重ね〕
壁部の養生 〔ポリエチレンシート 1枚〕
足場の組立 〔除去したアスベストを固化処理する場合は、アスベスト固化装置の設置〕
セキュリティゾーンの組立 ・ 設置
------------------------------------------- シャワールーム設置
負圧 ・ 除じん装置の設置
粉じん飛散抑制剤吹付け機械の設置
その他の養生 〔照明器具等〕
除去作業 粉じん飛散抑制剤の吹付
-------------------------------------------- 施工中サンプリング
吹付けアスベストの除去
-------------------------------------------- ブラシ掛け
除去した面の粉じん飛散防止処理剤の 吹付け
アスベスト処理 除去したアスベストの処理 〔除去したアスベストの密封処理、または固化処理〕- 除去したアスベストの搬出
清掃 清掃
検査・確認 検査
後片づけ 養生シート面への粉じん飛散抑制剤吹付け
壁面等養生シートの撤去
足場の解体 ・ 清掃後の場外搬出
養生シートの撤去
養生シート等の廃棄物搬出
清掃 清掃
------------------------------- 施工後サンプリング(一週間後)
記録 施工記録
作業者の作業記録等
完了
- 除去したアスベストの搬出
- 使用機材・材料・その他工具
- 1. エアシャワー ⇒ エアシャワーは、クリーンルームなど清浄度を必要とする部屋への出入り口に設置するものでノズルから強い気流を吹き出して衣服に付いた塵埃などを除去するとともに、外気とクリーンルーム内の空気を分ける間仕切りの役目を果たします。
2. 負圧除じん装置 ⇒ アスベスト等の特定粉じんを使用している解体工事現場で、粉じんの汚染拡大を防止するため、隔離・養生した作業区域の内部を負圧に保つ装置です。
3. 真空掃除機 ⇒ 高性能真空掃除機を用いて床面・窓枠等を清掃し、隔離シートの裏面等にアスベストが付着しないように事前清掃を行います。
4. エアレススプレイヤー ⇒ 吹き付け石綿の封じ込めや除去の際発生する石綿粉じん抑制、除去した面への封じ込め剤の吹き付け、薬液の散布には、エアレススプレイヤーが必要です。エアスプレイヤーで作業を行うと、エアの圧力によって石綿が飛散する恐れがありますので、エアレススプレイヤーをご使用します。
5. 保護具 ⇒ 石綿粉じんは有害性が高く、人体へ吸入することにより石綿関連疾患を引き起こす恐れがあります。 このような石綿粉じんの 人体への吸入を防ぐためにもマスクの装着が必要で、特に顔面と面体との密着が重要になります。 適切にマスクを装着することで有害な石綿粉じんからのばく露を防ぎます。
6. 養生材他
7. 飛散防止剤・抑制剤 ⇒ アスベスト繊維を結着被覆し、粉塵の飛散を防ぎます。処理液はアスベスト層に良く浸透してアスベスト繊維を固化します。難燃性の皮膜を形成し、処理後は準不燃の防火性があります。
8. 看板・掲示